同じビルに出店し、類似した看板などを不当に使っているとして、焼き鳥チェーン「鳥貴族」(大阪市)が、焼き鳥店「鳥二郎」を運営する「秀インターワン」(京都市)を相手取り、6050万円の損害賠償や標章の使用禁止などを求め、大阪地裁に提訴した。
鳥貴族側は「客が鳥貴族と勘違いして訪れることを意図しており、悪質」と主張。
秀インターワン側は、21日の第1回口頭弁論で請求棄却を求めた。
訴状によると、鳥貴族は今年1月現在で全国で387店を運営。秀インターワンは昨年4月以降、大阪、京都両市などに鳥二郎12店を展開し、うち4店は鳥貴族が入るビルにあるとした。
鳥貴族側は、鳥二郎の看板について、「鳥」の字を崩した図形や、赤と黄の配色が、全国的に知られている鳥貴族の看板と極めて似ている、と主張。さらに、全品均一の価格表示▽木材を多用した内装▽黒いTシャツにバンダナ姿の店員の服装――なども同じで、著名なものと類似する表示を禁じた不正競争防止法に違反する、と訴えている。
また、鳥二郎近くの店舗は売り上げが減少し、鳥貴族で飲食したと思いこんでいる鳥二郎の利用客から、苦情が寄せられることもあるとした。(YOMIURI ONLINE 2015年4月21日)
何の法律で提訴したのか気になったのですが、この記事によると不正競争防止法のようです。
「鳥貴族」は商標登録されているのに、何故商標法違反として提訴しなかったのでしょうか。その理由は、「鳥二郎」も商標登録されているからです。ということは、特許庁の判断は「鳥貴族」と「鳥二郎」は非類似ということであり、商標法上は、「鳥二郎」を使用する権原があるということです。
では、不正競争防止法ではどう判断されるかといえば、こちらも非類似と判断される可能性が高いと思われます。理由は、不正競争防止法は商品表示等を問題とする法律であるため、鳥貴族が主張する、メニュー内容、全品均一の価格表示、店員の服装は考慮されることがあっても直接の論点とはならないはずです。そうなると商標が類似するかという問題が論点となりますが、特許庁が非類似としているため、その判断がかなり参考にされるものと思われるからです。
こういった流行っているお店の模倣は、後を絶ちません。アメリカでは、「トレードドレス」といって店の創りなども保護されています。日本でも、そういった権利が保護されるようになるかもしれません。